「 ここから撮ってください 」
卒園式に行くとそう説明され
一気にトーンダウンした
前には在園児たちの席
よく見ると、右だって左だって
動けるスペースは十分ある
動いてナンボのスナップ撮影で
動いてはいけないという制約は
自分にとってあまりに酷なことだった
どんな写真が撮れるだろう?
どんな瞬間を狙ってみようか?
いつもカメラを準備し終わると
期待とやる気がジワジワと満ちてくる
でも そんな想いはすぐに消え失せ
一気に仕事モードになった
・・・
式が始まり
淡々と進む撮影
ただ記録として
撮ってるだけの感じだった
式が進むにつれ
お母さんが泣いてた
先生が泣いていた
卒園児が泣いていた
その光景を目にしていると
はじめに抱いた想いが
あまりにちっぽけに感じ
今という瞬間を残すことが
自分の使命のような気がした
ただそれだけで良いんだと